人権教育の話題・2/13全校朝礼校長講話1
2017年2月15日 08時00分 2/13(月)の全校朝礼で話しました内容に加筆して、改めて人権教育についての話題をお知らせします。
先週は各校の研究発表会や、人権教育に関係する会議や研修が重なり、心動かされることの多い週でした。本校では人権標語の作成にも取り組み、日常からさまざまな機会で人権を尊重する教育を行っています。とはいえ、私自身が教員として認識を新たにしたり、かつての自分になぞらえて反省したりすることは、恥ずかしながらいまだにあります。校内でも十分周知していますが、教員に助言する機会も同様です。また、保護者・地域の皆様にもご協力をお願いすることでもあります。偏見・差別を解消していくために人権感覚を養う重要な視点は、「正しい認識」と「」違いを認める」ことです。それを伝えていくのは、学校の使命です。
例えば、LGBTについて、生徒に知っている言葉であるか、朝礼講話の中で聞いてみたところ、3年生から多くの挙手がありました。正しく認識できていたら大変うれしいことです。LGBTはセクシャルマイノリティ(性的少数者)を意味する言葉で、この問題で現在悩んでいる人の割合は7.6%いるとされ、13人に1人が該当します。先日私が参加した研修では、3人の若者が、それぞれ心と体の不一致に悩んできた体験を語っていました。真面目に社会や家族との接点を考え、前に進もうとしている姿に心打たれるものがありました。私自身、かつての教え子からカミングアウトされたことを思い出し、重ね合わせて感慨深く聞き、生徒たちに伝えていくことの大切さもまた痛感したのです。
もう10年以上も前のある日の放課後、当時の勤務校に一人の卒業生が訪ねてきました。担任をしたわけでもなく、授業を担当していたわけでもなかった生徒でしたが、連合行事や日常の中で言葉を交わしていたのを懐かしんで会いに来たと言っていました。久しぶりに会ったのですが、私が知っている姿とは様子が変わっていました。「ところで、何かあったの?」と聞いてみるとその卒業生は、女性の体に生まれたが、男性の心を持っていたことについてとつとつと語り始め、長いこと悩んでいたことにけじめをつけ、家族や周囲の理解を得て、自信を持って本来の自分として生きていくことにした、ときっぱりと決意を述べて結んだのです。私にまで話してくれたことに礼を言い、励まして別れた時からすでに長い時間が過ぎました。語ってくれた重みに対して、心の葛藤への理解を広めていく努力を、教員としての私は十分にしていたのか、と自問自答したのです。
公立学校の使命とは、生徒たちの多様性を認め、励まし、育てていくことです。しかし、なかなか十分には対応しきれないことも数多くあります。それでも、違いを認めていくことの基本は忘れずにありたいものです。生徒にはさまざまな相談機関の資料を配布済みです。もちろん、直接相談できる環境が本校にはありますので安心してください。